ニュージーランドに住んではいたけれど義父さんが来るまでの私達母子の生活ルールは純日本風だった。
特に母親の大事な役目の一つは料理で、毎日、母親は家族の健康を管理しバランスよくメニューを決めて料理し、家族は黙ってそれを食べる。
日本にいた時、日本の夫はいつも夜遅く帰って、新聞を読みながら食べるのが常だったから食事に注文をつけるということも無かった。
だから義父さんと暮らすようになってからも私は当然のように料理を担当し続けた。そしてそれが10年以上も自炊をしてきて、日本食にもなじまなかった彼にとっては便利なようで不便なことだということに気づかなかった。
ある日「君は僕のために料理をしてくれなくても良いんだよ」と言い出した。意味が分からず怪訝な顔をしている私に「君は自分の食べたい物を作ってくれていいんだ。でも時々僕がそれを食べずにトーストを焼いて食べたとしても気にしないでほしい」と。続きを読む